Slackのオープンソース版のようなチャットアプリZulip
はじめに
ビジネス用のチャットアプリとしてすっかり定着しつつある印象のSlackですが、そのSlackとほぼ同等の機能を持ちながらオープンソースで公開されているチャットアプリがZulipです。この記事ではZulipについて紹介します。
Zulipについて
Zulipは元々独立した企業でしたが、Dropboxが買収してZulipをApache License 2.0でオープンソース化しました。ZulipはSlackの基本的な機能は持っており、Slackのように他のアプリとの連携も充実しています。Zulip特有の機能としては、Slackでいうチャンネル(Zulipではストリームと呼んでいます。)の中で「トピック」でチャットをグループ分けることができます。具体的には、以下のようにストリームの中にトピック毎にチャットをグループ分けできます。
https://zulipchat.com/hello/ より引用
このトピック機能により、メッセージが大量に溜まっている状況でも、誰のどの発言がどのトピックに関連するものなのか一目瞭然になります。 ZulipはSlackのようにいくつか有料プランを用意していますが、オープンソースとして配布されているため、自前のサーバーでZulipを動かせば制限なく使用することも可能です。 なお、ZulipのクライアントアプリはWindows、macOS、Linuxに加えてiOS、Android用も配布されています。
以下がZulipの公式リポジトリです。
Zulip is a powerful, open source group chat application that combines the immediacy of real-time chat with the productivity benefits of threaded conversations.
Zulipをダウンロードする
Zulipを使用するために、こちらのダウンロードページからZulipのクライアントアプリをダウンロードします。
Linux版としてはAppImage形式で配布されています。
Zulipのアカウントを作成する
Zulipのクライアントアプリを起動すると、以下のウィンドウが開きます。「新しい組織を作る」をクリックします。
ブラウザが開いて以下の画面が表示されるので、自身のメールアドレスを入力して「組織を作成」をクリックします。
以下のように表示されるので登録したメールアドレスに届いたメールを確認します。
以下のようなメールが届いているので、「Complete registration」をクリックします。
「Complete registration」をクリックすると、ブラウザで以下の画面が表示されます。ここで自身のアカウントのパスワードや作成する組織名やチーム名、招待したいユーザのメールアドレスを登録します。
以下のように表示されればZulipのアカウント作成が完了です。
後はZulipのクライアントアプリで組織名を入力して「接続する」をクリックすればログインできます。
Zulipの言語を日本語に設定する
Zulipはデフォルトでは言語設定が英語になっています。これを日本語に変更するには、Zulipのクライアントアプリの右上にある歯車マークから「設定」をクリックします。
以下のように「Display settings」の「Default language」のEnglishとなっている部分をクリックします。
以下のように日本語をクリックします。なお、55%というのは翻訳が完了している割合です。まだ完全には日本語への翻訳が完了していないようです。
後は以下のように「reload」という部分をクリックすると、画面が再読込されて反映されます。
以上で言語設定の変更が完了です。
Zulipでストリームを作成する
ZulipのストリームはSlackでいうチャンネルになります。そしてZulip特有の機能として、ストリームの中にトピックを作成してチャットをグループ分けすることができます。 Zulipでストリームを作成するには、以下のように左側にある「Add streams」をクリックします。
以下のようなダイアログが開くので、「ストリームを作成」をクリックします。
続いて作成するストリーム名や公開範囲、招待する人を設定して右下にある「作成」をクリックすればストリームの作成が完了です。
作成するとそのストリームの設定画面が表示されますが、日本語化されているので問題なく設定できると思います。
Zulipでトピックを作成する
トピックを作成するには、以下のように「新しいトピック」をクリックします。
以下のように適当なトピック名を入力し、メッセージを入力して「送信」をクリックすればそのトピックが作成されてメッセージが送信されます。
なお、少し日本語が分かりにくいですが、メッセージを送信するには「返信」から行います。
そして返信時に新しいトピックを入力することでもトピックを作成してチャットを開始できます。
まとめ
Zulipの使い方を簡単にまとめました。Zulip特有のトピック機能がSlackでも導入してほしいぐらいには地味に便利です。
なお、Zulipを使うには、クラウド環境にZulipを構築することが手っ取り早いですが、クラウド環境を使わずに社内にZulip用のサーバを設置して、VPN環境を組み合わせることでもクラウド環境と同等の環境を構築できます。 社内にZulip用のサーバを設置し、後はアクセスを許可したい端末(PC,スマートフォンなど)にVPN環境を一度設定するだけで構築できます。一度設置してしまえば後はVPN環境を意識することなく透過的にZulipを使用できます。 このようにZulip含め、導入を検討しているオープンソースなどがあれば構築や相談を受けておりますので興味のある方はお問合せからご連絡いただければと思います。
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