テキストの有害度をスコア化できるGoogleのPerspective APIをPythonで使う手順

公開日:2019/05/28 更新日:2019/05/28
テキストの有害度をスコア化できるGoogleのPerspective APIをPythonで使う手順のサムネイル

machine-learning-image.jpg Photo by Franki Chamaki on Unsplash

はじめに

GoogleのプロジェクトとしてJigsawというものがあります。Jigsawでは、「どうしたらテクノロジーで世界中の人々に安全をもたらせるのか?」をコンセプトとして色々なプロジェクトが展開されています。そしてその中の1つに、「オンラインでの嫌がらせから人々を守るには」というメッセージのもと進められているのがPerspectiveというプロジェクトです。このPerspectiveではAPIが用意されており、与えられた文字列がどれぐらい有害であるかを色々な指標でスコア化することができます。この記事では、このPerspective APIをPythonで実際に動かしてみるところまでの手順をまとめます。

できるようになること

与えた英語の文字列がどれぐらい有害であるかをスコア表示します。例えば、Hello, everyone! Nice to meet you.という文字列のTOXICITY(毒性)スコアを以下のようにJSON形式で取得できます。以下では、Hello, everyone! Nice to meet you.のTOXICITYが0.04と低いことを示しています。全てのスコアは0〜1のスコアになります。他の指標もスコア化できます。なお日本語はまだ対応していないため、英語を対象としています。

{
  "attributeScores": {
    "TOXICITY": {
      "spanScores": [
        {
          "begin": 0,
          "end": 34,
          "score": {
            "value": 0.04011109,
            "type": "PROBABILITY"
          }
        }
      ],
      "summaryScore": {
        "value": 0.04011109,
        "type": "PROBABILITY"
      }
    }
  },
  "languages": [
    "en"
  ]
}

前提と環境

以下の通りです。

  • OS : Ubuntu18.04
  • PythonとAnaconda、もしくはpipはインストール済とする
もしまだPython環境とAnacondaをインストールしておらず必要な方は以下に手順をまとめているので見てみてください。
virment.com

機械学習やデータ解析に触れる機会があり、今更ながら今後も必要になりそうなためまずはPythonを実行できる環境を構築しようと思いAnacondaをUbuntuにインストールしました。Anacondaをインストールすることで、PythonとJupyter Notebookの環境を構築できます。ここではその手順をメモします。

以降の手順は、以下のPerspective APIの公式ドキュメントに従って行います。

github.com

Perspective API Quickstart

Perspective APIを有効化する

はじめに、Goolge APIsの管理画面からPerspective APIを有効化し、APIキーを取得する必要があります。 Googleアカウントにログインし、こちらのPerspective APIにアクセスします。Googleアカウントにログインしていない場合はログイン画面が表示されますのでログインします。

アクセスすると以下のようなページが表示されますので「有効にする」をクリックします。もしはじめてGoogle APIsにアクセスした場合は以下の画面が表示されないかもしれませんが、その場合については後述します。

perspective_comment_analyzer_api.png

有効化後、APIキーを作成します。

はじめてGoogle APIsにアクセスした場合

この場合は少しだけ手順が異なります。必要な方は以下のボタンで展開して確認してみてください。

はじめてGoogle APIsにアクセスした場合は、以下の様な画面が表示されますので、規約を読んだ上でチェックを入れて「同意して続行」をクリックします。

first-access-google-apis-modified.png

「同意して続行」をクリックすると、以下のようにダッシュボードが表示されますので、左側のメニューから「ライブラリ」をクリックします。

dashboard-click-library.png

ライブラリの検索画面が表示されますので、以下のように「perspective」と入力します。検索結果に出てくる「Perspective Comment Analyzer API」をクリックします。

search-perspective-api.png

これで以下のように目的のPerspective APIの画面が表示されますので、前述した手順で有効化します。

perspective_comment_analyzer_api.png

ダッシュボードに移動すると、まずプロジェクトを作成するよう表示されるので作成します。

create-project-first.png

以下のように適当なプロジェクト名を入力し、各自の状況に合わせて「場所」を選択します。その後「作成」をクリックします。

your-first-project-settings.png

あとは以下のように作成したプロジェクトが選択されている状態で任意のAPIを有効化します。

enable-perspective-api-after-create-project.png

APIキーを作成する

Google APIsのダッシュボードの左側メニューから「認証情報」をクリックし、以下のように「認証情報を作成」→「APIキー」をクリックします。

certinfo.png

これまでに1つもAPIキーなどの認証情報を作成したことがない場合は以下のような表示になりますが作業は同じです。

create-first-certinfo.png

以下のようにAPIキーが作成されます。このAPIキーを後ほど使用しますのでメモしておきます。続いて作成したAPIキーの設定を行うために「キーを制限」をクリックします。 

your-api-key.png

以下のように、作成したAPIキーについていくつか制限を設定することができます。例えば、このAPIキーへのアクセス元IPアドレスを制限したり、このAPIキーで使用できるAPIを選択することができます。 

limitaion-apikey.png

制限を設けない場合は、1つのAPIキーでこれまでに有効化したGoogleのAPIサービスを全て使用できてしまいますが以下のようにそのAPIキーでどのAPIを利用できるかを制限できます。

select-limited-api.png

condaでGoogle API Python Clientをインストールする

Perspective APIをPythonからアクセスするには、まずPythonからGoogleのAPIにアクセスするためのクライアント用ライブラリをインストールする必要があります。インストールはとても簡単で、Anaconda環境であれば以下のcondaコマンドでインストールすることができます。

$ conda install -c conda-forge google-api-python-client

pipの場合は以下となります。

$ pip install --upgrade google-api-python-client

詳細は以下の公式ドキュメントに記載されています。

github.com

The official Python client library for Google's discovery based APIs

後は実際にPythonから使用します。

与えたテキストの有害度をスコア化するサンプルプログラム

これは公式ドキュメントにも記載されているサンプルです。以下コード内のYOUR_API_KEYは各自のAPIキーに置き換えてください。以下は、Hello, everyone! Nice to meet you.という内容をスコア化します。

from googleapiclient import discovery

API_KEY='YOUR_API_KEY'

# Generates API client object dynamically based on service name and version.
service = discovery.build('commentanalyzer', 'v1alpha1', developerKey=API_KEY)

analyze_request = {
  'comment': { 'text': 'Hello, everyone! Nice to meet you.' },
  'requestedAttributes': {
      'TOXICITY': {}
  }
}

response = service.comments().analyze(body=analyze_request).execute()

import json
print(json.dumps(response, indent=2))

上記を適当なファイルに保存してターミナルで実行します。ここではファイル名をperspective-test.pyとしました。

$ python perspective-test.py

以下の結果が返ってきます。

{
  "attributeScores": {
    "TOXICITY": {
      "spanScores": [
        {
          "begin": 0,
          "end": 34,
          "score": {
            "value": 0.04011109,
            "type": "PROBABILITY"
          }
        }
      ],
      "summaryScore": {
        "value": 0.04011109,
        "type": "PROBABILITY"
      }
    }
  },
  "languages": [
    "en"
  ]
}

上記から、与えた文字列であるHello, everyone! Nice to meet you.TOXICITYスコアが0.04011109と非常に小さいことが分かります。TOXICITYとは直訳すると毒性という意味です。すなわち、どれぐらい有害であるかという指標になります。ここでの有害というのは、例えば誹謗中傷など人にとっての有害です。 なお、Perspective APIでは、TOXICITY以外にもいくつかの指標をスコア化することができます。他の指標については公式ドキュメントに記載されています。

github.com

Toxicity and subtypes model definitions

複数の指標をスコア化する

以下のようにいくつかの指標をまとめて指定してスコア化することができます。以下では、You are so stupid and useless.という内容について、TOXICITY以外にもPROFANITY(冒涜)、INSULT(侮辱)、INCOHERENT(一貫性)を指標として指定した例です。

from googleapiclient import discovery

API_KEY='YOUR_API_KEY'

# Generates API client object dynamically based on service name and version.
service = discovery.build('commentanalyzer', 'v1alpha1', developerKey=API_KEY)

analyze_request = {
  'comment': { 'text': 'You are so stupid and useless.' },
  'requestedAttributes': {
      'TOXICITY': {}, 
      'INSULT' : {},
      'PROFANITY' : {},
      'INCOHERENT' : {}
  }
}

response = service.comments().analyze(body=analyze_request).execute()

import json
print(json.dumps(response, indent=2))

実行結果は以下のようになりました。

{
  "attributeScores": {
    "PROFANITY": {
      "spanScores": [
        {
          "begin": 0,
          "end": 30,
          "score": {
            "value": 0.85892,
            "type": "PROBABILITY"
          }
        }
      ],
      "summaryScore": {
        "value": 0.85892,
        "type": "PROBABILITY"
      }
    },
    "INSULT": {
      "spanScores": [
        {
          "begin": 0,
          "end": 30,
          "score": {
            "value": 0.9811452,
            "type": "PROBABILITY"
          }
        }
      ],
      "summaryScore": {
        "value": 0.9811452,
        "type": "PROBABILITY"
      }
    },
    "TOXICITY": {
      "spanScores": [
        {
          "begin": 0,
          "end": 30,
          "score": {
            "value": 0.979235,
            "type": "PROBABILITY"
          }
        }
      ],
      "summaryScore": {
        "value": 0.979235,
        "type": "PROBABILITY"
      }
    },
    "INCOHERENT": {
      "spanScores": [
        {
          "begin": 0,
          "end": 30,
          "score": {
            "value": 0.033226248,
            "type": "PROBABILITY"
          }
        }
      ],
      "summaryScore": {
        "value": 0.033226248,
        "type": "PROBABILITY"
      }
    }
  },
  "languages": [
    "en"
  ]
}

なお、与えられた文字列に複数の文章が含まれる場合には、それぞれに対してスコアを出します。そしてそれの総合点となるものがsummaryScoreです。ただし、文章が複数含まれていてもどこで区切るかは毎回同じとは限らないそうです。

Perspective APIの使用回数制限

以下のように「割り当て」から確認できます。現在は100秒間あたり100回のAPIリクエストが可能なようです。

limitation.png

まとめ

まだ日本語には対応していませんが、これからの展開がとても楽しみなAPIです。

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